2022年3月6日(日)、名古屋にて「カードファイト!! ヴァンガード overDress」の大型ファイトイベント「10周年記念 ヴァンガード WGP 名古屋会場」が開催された。
2月25日(金)に最新リリカルブースター『リリカルモナステリオ ~新学期はじまるよ!~』が発売して1週間。SNSなどでも新たなデッキの研究が進められており、『覚醒する天輪』までの環境が変化していく中での開催となった。
名古屋会場は、2つのブロックに分けて大会が進行。各ブロックを勝ち上がった合計2名が、全国大会へコマを進めることとなる。
予選は、直前の仙台会場で優勝した《バスティオン》のデッキが特に人気。とはいえ、他の人気デッキや、使用者は少数ながら予選を勝ち上がるデッキタイプも健在の混戦状態。決勝に勝ち上がるデッキは全く読めない状況となった。
Aブロックの決勝に残ったのは《バスティオン》2名、《バロウマグネス》2名、《ネルトリンガー》2名、《ニルヴァーナ》1名、《マグノリア》1名。
決勝戦は《ネルトリンガー》軸同士の戦いをダブルクリティカルで押し切った「アルパカ」選手と、ドラゴンエンパイアの超トリガーを、手札の超トリガーと完全ガードで守り切って逆転した《バロウマグネス》軸の「そらP」選手が相まみえた。
“隕石”による強力な除去と、トリガー能力を倍にする爆発力が魅力。人気デッキのひとつだ。 |
Bブロックの決勝は《ネルトリンガー》2名に、《ニルヴァーナ》、《ブルース》、《バスティオン》、《極光戦姫》、《フラッグバーグ》、そしてリリカルブースターで強化された《カイリ》。
決勝戦は、お互いに準決勝で《ネルトリンガー》軸を下して進出した、《フラッグバーグ》軸の「バリサン」選手と、《カイリ》軸の「ラルド」選手が対戦した。
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今回は、Bブロック決勝戦の様子をレポートでお届けする。
名古屋会場Bブロック決勝戦レポート
「ヴァンガード」の新たなレギュレーションであるスタンダードのルールには、いわゆるライド事故を防止する「ライドデッキ」が存在する。ファイターはG0からG3のカードをメインデッキとは別に用意し、毎ターンその中からライドできるようになった。
「バリサン」選手は《フラッグバーグ》軸のデッキだが、G1とG2には《樹角獣》を選択。G1の《樹角獣 カリス》は、ライドされた時に山札からユニットをコールするか、ソウルチャージをする能力を持つ。コールは確実ではないが、ソウルを減らさないのが《インロード・シューター》とは異なる点だ。
変則的なライドデッキを選択した「バリサン」選手。ソウルの確保は、人気の《極光戦姫》との対戦でも重要になる。 |
「ラルド」選手は《Astesice ナナミ》《Astesice キヨラ》《Astesice カイリ》をライドデッキに選択。もちろん、新たな“G4”切り札の《Astesice×Live カイリ》もメインデッキに採用したデッキ構築となっている。
先攻を取ったのは「バリサン」選手。
《フラッグバーグ》軸のデッキは、G3になってからのラッシュが持ち味。序盤はあまり展開せず、ヴァンガードだけでアタックしていく。
「ラルド」選手の《カイリ》軸は、ライドデッキのG1《ナナミ》が味方をコール、G2《キヨラ》が味方を手札に戻す能力を持つため、序盤から積極的にアタックを仕掛ける。
序盤から味方を展開しても、相手からアタックされる前に手札に戻せば戦力を減らさずに済むのがこのデッキのポイントだ。 |
後攻2ターン目の「ラルド」選手のターン。《キヨラ》にライドすると、手札から《食べ過ぎ注意! アイリーン》をコール!
前のターンに《ナナミ》でコールしていた《アイリーン》でブーストし、アタック時に山札を確認。即座に山札の上に戻した。
その動きを見た「バリサン」選手は、ノーガードを宣言。
ドライブチェックの前に能力を使うことで、トリガーではないカードを山札の下に送ってトリガーの確率を上げることが可能。 |
続けて《キヨラ》のアタック時に「ラルド」選手は前列の《アイリーン》を手札に戻す。
「バリサン」選手は、パワー10000の《キヨラ》に対し、クリティカルトリガーの15000シールドでガード。先ほど《アイリーン》で確認し、即座に戻したカードがトリガーの可能性があると読んだガードだ。
しかしドライブチェックは、切り札の《Astesice×Live カイリ》!「ラルド」選手は、これが欲しかったのだ。
ともあれ、ガードは成功。ダメージは「バリサン」選手2対「ラルド」選手1の状況となった。
先攻3ターン目、バリサン選手は《旗艦竜 フラッグバーグ・ドラゴン》にライド!ここからが「バリサン」選手のデッキの見せ場だ。
アタック回数を増やせば、能力が強力になっていく。リアガードの能力をうまく使うのがポイントだ。 |
前列に手札から《アセンダンス・アサルト》《重撃のブレイブ・シューター》をコールし、連続アタックの態勢を整えていく。
《アセンダンス》の後列には《ハイレートバースト・ドラゴン》をコールし、《ブレイブ・シューター》にスタンドする能力を与える。
さらに《ブレイブ・シューター》の後列に《プライズド・トライデント》をコールし、準備完了。
アタックしたリアガードをスタンドさせることで、アタック回数を増やす能力を持つユニットたち。これらの能力を組み合わせ、切り札の《フラッグバーグ》を強化する。 |
1回目は《ブレイブ・シューター》が単騎でアタック。パワーは15000、さらに《ハイレートバースト》で与えられた能力で、スタンドする。
「ラルド」選手はアタックの想定回数と、それぞれのパワーを確認し、ノーガードを宣言。ダメージトリガーは無し。
2回目のアタックは《アセンダンス》単騎。パワーは10000、ラルド選手は先のターンに手札に戻した《アイリーン》でガード。
3回目は《プライズド・トライデント》でブーストした《ブレイブ・シューター》。パワー合計23000、さらに《アセンダンス》をスタンドし、次のアタックの準備を整えた。
パワー自慢のアタッカー。ノーコストでパワー15000に達するので、パワー8000のブーストを含めればトリガー1枚分を乗り越えられる。 |
「ラルド」選手はここをノーガード、そしてダメージは☆トリガー!ヴァンガードを強化し、守りを固める。
ダメージトリガーでパワーは足りなくなったが、「バリサン」選手は《アセンダンス》でアタックし、アタック回数を4回にする。
そして5回目、ついに《フラッグバーグ》のアタック。
まずは《プライズド・トライデント》の能力で、ソウルを増やしながらカウンターチャージ。これで《フラッグバーグ》用のコストを調達できた。
条件は厳しめだが、ソウルとカウンターブラストのコストを両方賄える。ここぞという場面で役立つ。 |
《フラッグバーグ》の能力はすべて発動し、「バリサン」選手は1枚引き、さらに「ラルド」選手のリアガードを除去、さらに《フラッグバーグ》のパワーが+10000され、ガード制限を付与!
「ラルド」選手はノーガード。ドライブチェックは《フラッグバーグ》と《樹角獣 リューカ》で、トリガーなし。「ラルド」選手はここでヒールトリガーを引いて回復するも、ダメージは2対3と逆転した。
後攻3ターン目、「ラルド」選手は《Astesice カイリ》にライド!
このターンはペルソナライドしていないので、手札経由の連続アタック能力はまだ使えない状態だ。
ペルソナライドやG4につなぐ、このターンをどのように立ち回るかが重要なポイントになる。「ラルド」選手の答えは……。 |
まずは《Hoppin’Stellar メルティ》をコールし、能力で《元気に登校 キャルフィ》をコール!
1枚ドローし、さらに《キャルフィ》は自身の能力でパワー+10000。元々のパワーは10000なので、これで20000になった。
《メルティ》はドローできるG2アタッカー。《キャルフィ》はトライアルデッキ収録のG3だ。 |
そのままアタックに移るが、ここで「ラルド」選手は狙いを「バリサン」選手のリアガードに絞る。
アタッカーの《アセンダンス》と《ブレイブ・シューター》に集中してアタック!
3回のアタックで「バリサン」選手のアタッカーを退却させ、さらに《カイリ》の能力で味方は手札に戻す。ダメージは2対3のまま、ターンを返した。
先攻4ターン目、「バリサン」選手はペルソナライド!
しかし「ラルド」選手がリアガードをアタックしたため、カウンターブラストがない。
このターンはアタック回数を稼げないが、《霊体凝縮》で《ブレイブ・シューター》を復活コールし、このターンは3回のアタックでターンエンド。
「ラルド」選手は3回のアタックをしっかりガードし、ダメージは依然2対3のままだ。
後攻4ターン目。「ラルド」選手は序盤に手札に加えた《Astesice×Live カイリ》にライド!
先のターンに手札に戻した《メルティ》から、同じく手札に戻した《キャルフィ》をコールし、1枚ドロー。
《Astesice×Live カイリ》の能力で《メルティ》はパワー15000、《キャルフィ》はパワー25000に強化!ここで一気にラッシュを仕掛けていく。
手札を経由した連続アタックは《Astesice カイリ》と同じ戦略。さらにリアガードのパワー強化が加わっている。 |
《カイリ》のアタックでクリティカルトリガーをめくる「ラルド」選手。ここで一気にダメージを与えるかと思いきや、「バリサン」選手はダメージチェックで超トリガー《天恵の源竜王 ブレスファボール》を引き当てる!
ここで「バリサン」選手はヴァンガードにパワー+1億!リアガードの追撃をシャットアウトする。 |
《フラッグバーグ》に+1億された「ラルド」選手は、このターンもリアガードをアタックしてターン終了。ダメージは3対3、一進一退の攻防が続く。
先攻5ターン目、ここで攻め込みたい「バリサン」選手。
《蒼砲竜 インレットパルス・ドラゴン》をコールし《樹角獣 リューカ》で強化。
さらに《アセンダンス・アサルト》と《ハイレートバースト・ドラゴン》をコール!
《フラッグバーグ》軸の《インレットパルス》は、自己スタンド能力も使える超強力ユニット!《リューカ》で強化され、怒涛の連撃を狙う。 |
まずはパワー23000の《インレットパルス》でアタック。「ラルド」選手は《優雅な一時 ロッピル》をガードに出し、手札の《カイリ》を見せることでシールドを強化。1枚でガード成功。
「バリサン」選手は《インレットパルス》を自身の能力でスタンドし、次のアタックに備える。
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次は《アセンダンス》でアタック、パワーは18000。「ラルド」選手、ここは手札とインターセプトでガード。
さらにスタンドした《インレットパルス》でアタック、ここはノーガードを宣言。ダメージトリガーは無し。
そして4回目のアタックは《フラッグバーグ》!「バリサン」選手は1枚ドロー、そして「ラルド」選手のアタッカーを除去。しかしパワー強化とガード制限がなかったため、ここは☆トリガーと《ロッピル》でしっかり守っていく。
ダメージは3対4、《インレットパルス》でドローして「バリサン」選手はターンを終了した。
後攻5ターン目、「ラルド」選手は手札にまだ《メルティ》《キャルフィ》を持っていた。
このファイト3回目となる《メルティ》と《キャルフィ》の展開&パワー強化で戦線を整えていく。
左右の後列には、さらに《次へのステップ ラプラム》と《澄み渡る雪夜 ベレトア》をコール!
これで手札をほとんど使いきった「ラルド」選手。一気に攻め込む! |
後列の味方も《Astesice×Live カイリ》の能力でパワーアップしており、「バリサン」選手はトリガーが乗ってもガードはギリギリのところか。
《メルティ》と《キャルフィ》のアタックをノーガードで通したところで、5枚目のダメージでトリガーを引き当てた「バリサン」選手!
値千金のダメージトリガー!このターン、守り切れるか!? |
《Astesice×Live カイリ》のアタック時に、「ラルド」選手は《キャルフィ》と《ラプラム》を手札に戻して再度コール。《ラプラム》の能力で、ソウルの《キヨラ》をアタッカーとしてコール!
これで《キャルフィ》はパワー25000、《キヨラ》+《ラプラム》はパワー33000となった。
《フラッグバーグ》のパワーはトリガーが1枚乗って23000、パワー13000の《Astesice×Live カイリ》のアタックに対し、インターセプトで「2枚貫通」を宣言した「バリサン」選手。
ここが勝負の分かれ目となる!
「ラルド」選手のドライブチェックは……超トリガー《華燭絢爛 エステランザ》!
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ヴァンガードのパワー+1億でガードを貫通し、「バリサン」選手のダメージは6。
まさにグレイテストな結末!「ラルド」選手が華々しい優勝を飾った!
(文=神田秀人)