2022年3月19日(土)、「カードファイト!! ヴァンガード overDress」の大型ファイトイベント「10周年記念 ヴァンガード WGP 新潟会場」が開催された。朝から小雨がちらつく天候ではあったが、会場には多くのファイターが訪れ、腕を競った。
回を追うごとにデッキや環境の研究が進み、各会場で異なるデッキが優勝している今回の大会。
新潟会場の予選では《マグノリア》と《ネルトリンガー》、そして《ニルヴァーナ》が特に人気だった。最新ブースターの『リリカルモナステリオ ~新学期はじまるよ!~』からも、G4《カイリ》、《ロロネロル》などが参戦していた。
また、デッキによって序盤の立ち回りを変えるプレイングの研究も進んだためか、ファーストヴァンガードに別軸のユニットを選ぶファイターも増えてきているようだ。
決勝トーナメントに進出したのは《ゾルガ》が2名、《極光戦姫》、《ニルヴァーナ》、《バヴサーガラ》、《ブルース》、《バロウマグネス》、《マグノリア》がそれぞれ1名ずつ進出。《ゾルガ》や《バヴサーガラ》の躍進は、デッキの研究や環境の変化が感じられる結果だろう。
そして決勝戦に残ったのは、《バロウマグネス》を使う「トア」選手と、《極光戦姫》を使う「ゆうちゃん」選手!
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いずれも人気のデッキではあるが、地区大会での決勝戦では相対することがなかったマッチアップ。注目の一戦だ。
新潟会場決勝戦レポート
「ヴァンガード」の新たなレギュレーションであるスタンダードのルールには、いわゆるライド事故を防止する「ライドデッキ」が存在する。ファイターはG0からG3のカードをメインデッキとは別に用意し、毎ターンその中からライドできるようになった。
「トア」選手のライドデッキは、言うなれば正統派の《バロウマグネス》デッキ。G1とG2の能力で、切り札の《バロウマグネス》のためにソウルを増やす。
「ゆうちゃん」選手のライドデッキは、ファーストヴァンガードに選んだ《柩機の獣 フォーヴィ》が特徴的。動き出しの早い〈世界〉型の《ネルトリンガー》と思わせる、戦略的なカード選択と言えるだろう。
先攻は《バロウマグネス》の「トア」選手。
ライドデッキのG1《ディープ・ソニッカー》と、G2《エレクトロ・スパルタン》でソウルを増やしていく。
ソウルを増やすことに特化したライドライン。手札からソウルに置く能力は《バロウマグネス》の能力の下準備としても優秀だ。 |
対する後攻は《極光戦姫》の「ゆうちゃん」選手。
G1《極光戦姫 キルナ・ブルー》にライドすると、さらに《超速ロボ シュバルスタッド》をコールすると、〈監獄〉はセットせずにアタックを仕掛けていく!
「トア」選手はどちらのアタックもノーガード。「ゆうちゃん」選手はクリティカルトリガーを引き当て、1ターン目にしてダメージを3対0とした。
長期戦を見据えた《極光戦姫》ならば、ここで〈監獄〉をセットするところ。しかし「ゆうちゃん」選手は迷わず速攻を狙った! |
速攻を仕掛ける「ゆうちゃん」選手に対し、「トア」選手は我が道を行く。
足止めのために《シュバルスタッド》をアタックするが、是が非でも速攻を続けたい「ゆうちゃん」選手はリアガードを守る。
お互いの思惑が交錯するファイト。
後攻2ターン目、「ゆうちゃん」選手は《銀河中央監獄 ギャラクトラズ》をセットすると、さらに《極光戦姫 カフ・スプリング》《極光戦姫 ペリオ・ターコイズ》をコールし、ヴァンガードの《極光戦姫 リサット・ピンク》と共にアタックを仕掛ける!
前列にアタッカーを展開し、攻撃の手を休めない「ゆうちゃん」選手。 |
「トア」選手はダメージトリガーを期待して《カフ・スプリング》のアタックをノーガードで通すが、ダメージトリガーはなし。
一気に攻め込む「ゆうちゃん」選手だが、続く《リサット・ピンク》《ペリオ・ターコイズ》のアタックはしっかりガードして、「トア」選手はダメージ4でこのターンをしのぐ。
ここまでして速攻を仕掛けるのは、「ゆうちゃん」選手の作戦だろう。
ソウルからのコールでアタック回数を保証でき、山札切れも《キーンリィ・ルデリィ》で対策できる《バロウマグネス》に対して、長期戦は不利と判断したのだ。
大量のソウルチャージで山札を削る《バロウマグネス》デッキだが、この能力で山札の枚数を一気に回復できる。 |
となれば、あとは覚悟を決めるだけ。捨て身の速攻で「トア」選手の準備が整う前に勝負を決めたいところだ。
先攻3ターン目、ここで「トア」選手が動き出す。
《重力の支配者 バロウマグネス》にライドし、G2《エレクトロ・スパルタン》の能力でソウルを2枚増やす。ここでソウルは6枚。
監獄から《ブレインウォッシュ・スワラー》をコールし、1枚ソウルチャージ。ソウルは7枚。
《パンデモニウム・タクティクス》を使い、4枚ソウルチャージ。ソウルは11枚。
《幻想の奇術師 カーティス》をコールし、2枚ソウルチャージ。ソウルは13枚。
そして、パワーが38000になった《ブレインウォッシュ・スワラー》の前に《セルフィッシュ・エングレイヴァー》をコールして、準備完了。
1ターンでソウル15枚を狙える盤面を整える「トア」選手。ここまで最低限の展開とガードで猛攻に耐えたのは、このターンの反撃のためだ。 |
まずは《カーティス》で《ペリオ・ターコイズ》にアタック。
「ゆうちゃん」選手は、ソウルの数を確認してこの後の展開を考える。高パワーのブーストを得た《エングレイヴァー》を止められなければ、ソウルが15枚に達する……。
ここは《カフ・スプリング》でインターセプト。
続いて《エングレイヴァー》のアタック。
パワーは48000、しかし「ゆうちゃん」選手の3枚の手札では、このアタックをガードできない。
アタックはヒットし、《エングレイヴァー》のソウルチャージと、自身がソウルに入る能力でソウルがちょうど15枚に達する。
そして「トア」選手は満を持して《バロウマグネス》のアタック!
ソウルが5枚以上なので1枚引き、10枚以上なのでパワーとクリティカルが上昇。
そしてソウル15枚なので、敵味方すべてのリアガードをソウルに置くと、「トア」選手はソウルから《エングレイヴァー》2体をコールし、パワー+10000!
ソウルの枚数によって強力になる能力を持つ切り札。3ターン目にソウル15枚を溜められれば、他のデッキを圧倒する攻撃力を発揮する! |
この状況でも、「ゆうちゃん」選手はノーガードを選択。次のターン勝つためには、1枚の手札も消費できない。
幸い、ダメージはまだ4対1。《バロウマグネス》のクリティカル2と、追撃の2体をノーガードしてもダメージは5で反撃のチャンスがある。
「トア」選手にとっては、ここでクリティカルトリガーを引ければ一気に決着を狙える絶好のチャンス。
ドライブチェックは……《ステムディヴィエイト・ドラゴン》、クリティカルトリガー!
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《バロウマグネス》のクリティカルが3になり、「ゆうちゃん」選手のダメージは4点。
さらに「トア」選手は《エングレイヴァー》で追撃。
このままガードしないと敗北濃厚な「ゆうちゃん」選手だが、それでもここはノーガードを宣言した!
「次のターンに攻めきれなければ負けるなら、ここでトリガーを引いて生き残る」という、覚悟のノーガード。ダメージは4対4、ヒールトリガーも有効だ。
追撃1回目、ダメージトリガーはクリティカル。
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追撃2回目、ダメージトリガーは……ドロートリガー!
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「ゆうちゃん」選手、決死のノーガードではあったが惜しくも実らず。
先攻3ターン目にソウル15枚を達成してのけた「トア」選手が、壮絶な決勝戦を制し優勝を決めた!
(文=神田秀人)