みなさん、こんにちは!
第2回となりました、『週刊ヴァンガードコラム』を書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
第2回は、ブースター第8弾「超極審判」に収録されているクランのクラン能力、《ダークイレギュラーズ》の「深闇(ダークネス)」と《ジェネシス》の「天啓」の開発エピソードについて書かせていただきます。
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《ダークイレギュラーズ》と《ジェネシス》、どちらもソウルが重要なクランですが、そのアプローチは似ているようで違います。《ダークイレギュラーズ》はいかにソウルを溜めるか、《ジェネシス》はいかにソウルを使うか。
またこの2つのクランには共通する課題がありました。それは「選択」。「自分の選択がファイトに影響を与える」というのはカードゲームの根源的な楽しさの一つです。
そんな「選択」について、《ダークイレギュラーズ》からお話ししていきましょう。
古くより《ダークイレギュラーズ》のユニットは、大別すると「ソウルを溜める担当」と「ソウルが溜まったら強くなる担当」に分かれています。しかしこの構造には、ちょっとだけ弱点がありました。
「ソウルが溜まったら強くなる担当」が要求するソウルに到達するまではどちらの担当を引いてもうれしいのですが、いったん到達してしまうと「ソウルを溜める担当」はもうお役御免になってしまうことです。それだけではなく、「ソウルが溜まったら強くなる担当」もソウルが溜まるまではあまりやることがない……ということです。
これを克服できれば《ダークイレギュラーズ》はもっと面白くなるはず!という確信がありました。
そこで取っ掛かりとなったのがこのカード。「ドリーン・ザ・スラスター」は人気のあるカードです。人気のわけは、ただ「強い」というだけではなく、使っていてとても楽しいというところにあります。
なぜ楽しいのでしょうか?我々はこれを分析しました。答えは簡単、ドリーンがいれば「ソウルを溜める担当」はお役御免になることもなく、いつ引いてもうれしいカードに変わるからです。それでいてドリーン自身も強くなる!完璧です。これを能力に落としこめば……
深闇の完成です。彼らの多くは自身でソウルを溜める能力を持っていますが、それを使えるのは一回だけ。かつソウルの量に応じて起こる効果も段階分けされている場合がほとんどで、ソウルが溜まる楽しさも併せ持っています。
これによりどの「担当」をいつ引いても、たくさんのカードに対してプラスの効果が働き、ファイターの「選択」によってカードが動く面白さをより強く感じることができます。
深闇はもう一つ、今までと違う要素を持っていました。それは「際限なくソウルを要求すること」。この飽くなき魂への渇望は、リスクもありますが《ダークイレギュラーズ》のイメージにとても強くマッチしていました。そしてその渇望を体現したカードが――
――味方をも糧とし、敵を薙ぎ払うG4、「罪深き者 シャルハロート」です。
さて、次は《ジェネシス》です。こちらは大量のソウルブラストによる派手な効果が魅力のクラン。つまり「ソウルを溜める担当」はいつ引いても活躍の機会があり、ソウルが溜まっても、お役御免という問題はありません。
では《ジェネシス》がもっと楽しくなるためには何が必要か?実はこのクラン、とっても多芸です。パワーも上がります。カードも引きます。山札も操作します。しかし……
ソウルが溜まるまでは、やることが少ないんです。しかもそのソウルも使う量が膨大で、花形カードの多くは二回ほどしか使えません。正直ジェネシスを使っていると、いろいろなカードを楽しそうに動かしている対戦相手がうらやましくなっちゃう程です。
つまり、序盤からちょっとした選択を楽しめつつ、それが後半の布石となるような能力。かつ《ジェネシス》のイメージに合うもの。
それが天啓でした。多芸な《ジェネシス》ですが、その大出力大消費ゆえに、一回のファイトで楽しめる「選択」の回数がちょっと少なかったんです。
天啓にレストが必要なのも「選択」を楽しむ要素の一つです。そしてこれをうまく使うことでカード同士の相互関係もより色濃くなりました。コストやデメリットを他のカードで補完する……これもカードゲームの醍醐味ですよね。
そこでファイトの最初から働いてくれるファーストヴァンガードと――
――最後に現れる切り札G4に思いっきり相互関係を入れておけば、きっと多くのファイターが天啓《ジェネシス》を楽しんでくれるはず。
こうして、「深闇」と「天啓」のクラン能力が出来上がったのです。
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか? お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
それでは、また来週。
スタンドアップ・ヴァンガード!
さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。 |
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