『週刊ヴァンガードコラム』

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第75回 『Gの足跡、ファイトの軌跡』

みなさん、こんにちは!第75回となりました、週刊ヴァンガードコラムを書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
 
皆様、カードファイト!!ヴァンガードGZ『EXTRA TURN』、ご視聴いただけましたでしょうか。現在配信中ですので、まだご覧になっていない方はぜひ、即座に!ご視聴いただければと思います。
 
3年半に渡るクロノ君たちの物語も、いったん区切りとなりました。製作に携わった関係者の皆様、素晴らしいキャラクターを演じてくださったキャストの皆様、そして何よりクロノ君たちを支えてくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。
 
さて今回は、開発の他にファイト構成としてG世界のイメージ構築の末席に立たせていただいたものとして、クロノ君たちの足跡をファイトの方面からお話ししてみたいと思います。
 
本当はGシリーズでファイトしたキャラクター全員分お話ししたいですし、何なら担当させていた話数のファイト全部ねっとり解説したいくらいですが……そんなことをすると文章量が無限になってしまいますので、ここは「G」物語の中心であった「ストライダーズ」と「トライスリー」の面々に絞ってお話しいたしましょう。
 
まず最初は……「ストライダーズ」では最年少ながら、作中でもきっての技巧派ファイター、明日川タイヨウ君!
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タイヨウ君は以前のコラムでもお話ししたとおり、技巧派かつ努力家。しかも守りの巧さ故に自身のみならず、相手のいい所もばっちり引き出してくれます。
 
まだ正体不明の「ディフライダー」だったベルノさん(アマルーダ)のファイトをどう盛り上げて魅力的にしようかという話題になった時、「初ファイト相手は明日川大先生です」→「なら安心ですね」という流れがあったほどです。
 
というわけでそんな明日川大先生、以前ご紹介したGNEXT12話や、入門講座として高い評価をいただいているG26話も良いのですが……私のベストは、GNEXT24話「騎士は剣に勝利を誓う」のvsシオン君戦です!
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クラン特徴も重なる部分が多く、見た目的にも威風堂々としたパラディン同士の対決。そして目標としているクロノ君と対等の実力者であるシオン君相手に一歩も引かず、12話での失敗も乗り越え、数値の上では勝利に届いていたけれど、無念の敗北というファイトです。
 
決着後、気丈に微笑み握手を求めるも、こらえきれず涙……これには内容を知っているはずの私もOA時に目頭が熱くなりました。
 
数々の出会いとファイトを越えて成長したタイヨウ君。これからはきっと、チームヴィクトリーズ(仮)をまとめつつ、多くのファイターの先導者となってくれることでしょう。ありがとう、明日川タイヨウ君!
 
 
二人目は、「GNEXT」のもう一人の主人公と言っても過言ではない《シャドウパラディン》の使い手、東海林カズマ君!
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最初はかなり斜に構えた態度でヴァンガードを捉えており、史上初の「途中でティーチングをやめてしまう」という、ある意味鮮烈なデビュー戦だったカズマ君。ですが、物語が進むにつれてどんどん熱い内面が見えてきました。
 
後半はもう「それって、何の得になんの?」と言っていた頃の無気力キャラはどこへやら、頼もしい存在になってくれています。
 
実は負け試合も多いカズマ君ですが……たとえ負けファイトであってもそれを糧に再奮起する姿は正に「もう一人の主人公」でした。
 
そんな東海林カズマ君、私のベストはGNEXT21話、「魅惑の奇術」。vsルーナちゃん戦です。ぶっちゃけこの回、全体のノリはギャグテイストなんですが、ファイトは結構重要な立ち位置だったりします。
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直前の対トリニティドラゴンのケイ君相手に最後まで諦めず、なんとか勝利したり、仲間を想う気持ちで勝利を掴んだチーム新ニッポンのマコト君の強さを認めたり、とクロノ君やタイヨウ君との関わりの中で成長していったカズマ君。ルーナちゃんとのファイトは、そんなカズマ君のこれまでの成長の一旦の総決算として位置づけられた物でした。(同じく、アンリ君とアムちゃんのファイトもまた、GNEXTからの新キャラであるアンリ君の成長と、アムちゃんのこれまでとこれからを描いた物でしたね。)
 
ガード判断をミスってしまったファイト展開、しかしそれをいかにカバーして押し返すか?というのは実際のファイトでもよくあることです。一回り成長したカズマ君は、くよくよせず状況を分析して「まくりの一手」に繋げ、見事勝利を“掴み取った”のです。あの「っしゃあ!」はファイターなら実感200%の一言だったのではないでしょうか。
 
GZでは色々大変なことになり、事件解決後も本人的には思うところあるかもしれませんが、きっとカズマ君なら大丈夫。君がもう諦めないことは、みんな知っています。ありがとう、東海林カズマ君!
 
 
そしてお次はトライスリーの“切り込み隊長”、先鋒と言えばこの人、安城トコハちゃん!
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トコハちゃんも最初は中々ツノのある感じで大変でしたが、クロノ君、シオン君との交流からどんどん成長していきました。持ち前の元気さに加え、自身の弱さを知ったからこその優しさや強さは本当に魅力的です。
 
《ネオネクタール》はトコハちゃんとアーシャのおかげで不動の人気を博しましたし、二人の「ストロングでキュート」なイメージは本当に噛み合っていて、まるで正真正銘の姉妹のようでした。パワー118000!なんてフレーズがハマるヒロインは世界広しと言えどなかなかいないでしょう。
 
GNEXTではまさかのパリ留学、そこで出会ったディフライダーのミゲル君との絆。そしてGZでの奇跡。
 
もちろん、ベストファイトはGZ8話、「私たちがつかんだ未来」!
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ドラゴンエンパイアのゼロスドラゴン、ドラクマの力に溺れるまま暴れるサオリ君(ダムジッド)と、自分の弱さと向き合い続けたトコハちゃん。奇しくもG初期のトコハちゃんが気にし過ぎていた、兄のマモルさんと同じクランの使い手との決戦。
 
「本当の強さ」「本当の弱さ」がテーマのこの回は、もう本当に王道まっすぐです。Gガーディアン「アンテロ」の登場からの逆転は、こうでなくちゃ!という展開。
 
GZ22話「挑戦する3人」で江西っちが言っていたように、いつでも、己の信じるまま、まっすぐに手を差し伸べるトコハちゃんのファイトに救われた、変わるきっかけを貰った人の数はGシリーズを通しても数えきれない程沢山います。
 
弱さを乗り越え、どんな地でも強く美しく咲けるトコハちゃんなら、きっとこれからも関わる皆を元気づけてくれるようなプロファイターとして大成してくれる気がします。ありがとう、安城トコハちゃん!
 
 
次はまさに波乱万丈、ものすごい激動の展開だったトライスリーの「綺」公子、綺場シオン君!
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シオン君は当初、典型的な貴公子タイプのキャラクターだったのですが、ヴァンガード作中屈指の大激動に見舞われたギアースクライシス編を経て、(それこそ高校生とは思えないほど)大きな人物へと成長しました。
 
シオン君で印象的なのは、やっぱりギアースクライシス編。レジェンドファイター櫂君との邂逅は、シオン君のアグレッシブなスタイルを確立させてくれた一戦です。櫂君もなんだかんだ結構大変な人生を送ってたりしていますので、その辺のイメージが噛み合ったのでしょうか。
 
GNXETになり、福原ヴァンガード部を引っ張る姿はとても頼もしく、気弱な早尾先輩やツンツンな羽島先輩との対比がとっても魅力的なチームでした。そんなシオン君の私的ベストファイトは、前述の櫂君との“継承の儀”とも言えるギアースクライシス12話もいいのですが……ここはGNEXT37話、「俺たちのヴァンガード」!
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とにかくこの回は「この回に至るまで」が最高です。タイヨウ君とのファイトで危うく勝ちを“拾った”シオン君は、セカンドステージで勝ちに拘り過ぎで硬直していました。そんな彼を見て、これまでシオン君に引っ張られてきただけ(だけ、じゃないんですけどね)だった恩を返すと奮起した早尾先輩に背中を押され、シオン君が走り出す流れはたまりません。
 
実はこの時、クロノ君はもう後がないはずなんですけど、シオン君の強さと“自由で楽しいファイト”に、お互いU20のプレッシャーはどこへやら。結果としてはクロノ君の勝ちとなりましたが、ファイト後の二人の笑顔がとても素敵でした。
 
必要ならば権謀術数さえも使いこなすしたたかさを持ちながらも、純粋な部分を持ち続ける「本当の貴公子」となったシオン君。きっとシオン君なら、“すべてを手に入れ、護る”こともできるのではないでしょうか。ありがとう、綺場シオン君!
 
 
そして最後はもちろん、ヴァンガードGの主人公である新導クロノくん!
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クロノ君は当然主人公ですから、もうとにかくここでは語りつくせないほどたくさんのエピソードがあります。シオン君、トコハちゃんとの出会い、カムイ君、伊吹君との出会い。ハイメ君、タイヨウ君、カズマ君、アイチ君……皆との出会いがクロノ君を育んでくれました。
 
ファイト面でも見所だらけで、一体何を挙げようか本当に悩ましいです。ギアースクライシス編のカムイ君との“師弟対決”、ストライドゲート編の明神リューズとの“未来を掴む”ファイト、多度ツネト君との“因縁の一戦”、鬼丸カズミ(シラヌイ)との“絆”の戦い……そして破壊の竜神ギーゼとの最終決戦。
 
“決戦”のファイトもいいですが、Gならではの“日常”ファイトの数々もすごく楽しいものがたくさんありました。特にトライスリー結成前のトリニティドラゴンvs「名前はまだない」の、はちゃめちゃリレー方式ファイトなんて最高です。
 
どれも良い!というのはちょっと卑怯なので、あえてイチオシとするなら……G47話~G48話、「クロノvs伊吹」&「決着」のファイト!
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この回はそれから先のクロノ君の在り方を決定づけた回でもあり、伊吹君との関係やユニットたちとの絆をクロノ君が強く確認した回でした。ファイトの方もそれに沿えるよう、(それまで以上に)細かいところまで制作の皆さんと打ち合わせつつ作成させていただきました。
 
どんな苦境や運命にも毅然と立ち向かえるクロノ君なら、きっといつか、そのイメージが惑星クレイへ届く日も来るかもしれません。本当にありがとう、新導クロノ君!
 
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか?お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
 
名残惜しくはありますが、今回でこのコラムは最終回となります。微力ではありましたがこうした発信をすることで、少しでも皆様のイメージやヴァンガードの世界を広げられたなら、これほど嬉しい事はありません。

それでは、またいつか。
スタンドアップ・ヴァンガード!

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中尾 宗也なかお むねなり

さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。

遊宝洞 中尾氏

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