『週刊ヴァンガードコラム』バックナンバー 第31回

『週刊ヴァンガードコラム』

第31回 『理のその先に ~ビヨンドオーダー』

みなさん、こんにちは!第31回となりました、週刊ヴァンガードコラムを書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
 
あと10日ほどとなりました「大ヴァンガ祭2017」。とても楽しみですね。その全貌がだんだん明らかになってきた「ファイターズコレクション2017」収録のユニットを、開発エピソードを交えつつ紹介していきたいと思います。
 
写真01
「ファイターズコレクション2017」の商品情報はこちら!
 
カード画像
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それではまず、「連環の黄金騎士 ケルティス・ウィナー」をご紹介しましょう。
 
《ゴールドパラディン》は以前のコラムでもお話ししたとおり、コールのイメージが“志願”となっており、ランダム性を伴っています。しかしこのランダム性も、拡大化していくと他の騎士団とあまり変わらなくなってしまいがち。
 
特に「GB8」は最終盤に出てくるわけですから、思いっきり拡大して“山札を15枚見て、5枚コール”とか言われても、もはや山札も少なく、ランダム要素は皆無という状況になっていることがほとんどでしょう。
 
そこで、彼のコールは一風変わったものとなりました。「連環」の名のとおり、とてつもない連続コールをリアガードが行うのです。“アタックでもブーストでも”というのが重要で、フル活用してアタックすると4枚で4回コールの連続アタックが可能になります。
 
“バトル終了時”も使い道を広げてくれています。アタックしたユニットのいるサークルにそのままコールしたり、ケルティスをブーストしたカードも能力を使えるのです。また前列のパワーが足りなければブーストで補強したあとコールすることもできます。
 
また、コストさえあれば能力を与えたリアガード本来の能力も使えます。連続コールは《ゴールドパラディン》の十八番ですが、さすがにここまで全対応のコールができるユニットはなかなかいません。
 
少し複雑な能力ゆえ、起動にするかアタック時の自動にするかはかなり協議した要素でした。起動にすると文章はすっきりするのですが、ここは最大攻撃回数の多さや起点となるリアガードの多くがバトルフェイズに発動する事を重視し、アタック時の能力となりました。
 
また見る枚数も何枚がいいか意見の分かれたところです。前述のとおり、リアガードの能力とも併用可能なため、見る枚数が多いと挙動が多すぎ、ものすごく大変だったのです。とはいえ、山の上1枚だけではあまりに前時代過ぎる……
 
というわけで、見る枚数は「2枚」となりました。これならもう1枚はサッと山札の下に置くだけでよくなります。そのかわり、「コールされたユニットのパワー+5000」をつけ、ブーストなどでフォローすればよほどのことがない限りアタックできるようにしたのです。
 
写真
 
そして「ファイターズコレクション2017」の最後にご紹介するのは、「GB8」の中でもひときわ特異な存在感を放つユニット……それがアニメでクロノ君がアイチ君から譲り受けて使ったこのカード、「時空竜 ビヨンドオーダー・ドラゴン」です。
 
「ビヨンド~beyond~」は超える、「オーダー~order~」は順序という名のもとに、追加のフェイズを創り出してしまうこのユニット、今までに類を見ないコストも相まって、その効果はとんでもないものです。
 
なにせトリガーの効果を引き継ぐヴァンガードの連続アタックどころか、ドライブチェックで引いたカードをコールしなおしてリアガードでもさらにアタックできてしまう、まさに驚天動地の能力です。
 
“時間や時空を操る”クランである《ギアクロニクル》は、その登場時に象徴的効果として「時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン」が存在していました。彼は《ギアクロニクル》とはどういう存在なのかを世に知らしめる役割があったのです。
 
それを踏まえ、今回の「GB8」で“時間や時空を操る”要素が色濃く出たユニットを作成しようということになりました。もちろん、最初に試した効果はミステリーフレアと同じく「追加のターン」でした。
 
ところがこの追加ターン、尋常なコストでは実現可能なレベルまで落とし込めないだけでなく、実際やってみるとちょっと微妙でした。なぜなら、Gユニットはターンの終了時にGゾーンへと帰ってしまうからです。
 
そして多くの場合、追加ターンに“決める”ユニットは別の……例えば「クロノドラゴン・GG」になるのです。このプロトタイプ「追加ターンビヨンドオーダー」は強いカードでしたが、“先生、お願いします” と中継するユニットのような印象になってしまったのです。
 
いわば多大な時間なり労力を払って降臨する「GB8」が中継ユニットでは格好がつきません。とはいえコストが軽すぎると延々「追加ターン」できてしまう……そこでビヨンドオーダーは最終的に、「ターン」ではなく「フェイズ」を創り出す能力となったのです。
 
マニアックな話ですが、総合ルール更新でフェイズ進行が大きく調整されていた理由の一つがビヨンドオーダーです。あの時点で「もしかしてこういう能力が来るのでは」と感じた方は、素晴らしいイメージ力をお持ちです。
 
いよいよ迫ってまいりました「大ヴァンガ祭2017」と「ファイターズコレクション2017」。「大ヴァンガ祭2017」は私も「普及協会に挑戦コーナー」で参加する予定ですので、お越しの際は皆様、よろしくお願いいたします!
 
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか?お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
よろしければ、是非Twitterなどで感想やご意見などをつぶやいていただけますと幸いです。

それでは、また来週。
スタンドアップ・ヴァンガード!

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中尾 宗也なかお むねなり

さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。

遊宝洞 中尾氏

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