『週刊ヴァンガードコラム』バックナンバー 第53回

『週刊ヴァンガードコラム』

第53回 『絶望と救済の相克』

みなさん、こんにちは!第53回となりました、週刊ヴァンガードコラムを書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
 
さて今回は、いよいよ明日10/20に発売となりますトライアルデッキ「再誕の救世竜」と、クランブースター「混沌と救世の輪舞曲」に収録されている注目のユニットたちを、その開発エピソードを交えつつ、ご紹介していきましょう。
 
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以前のコラムでもご紹介しましたとおり、《リンクジョーカー》には大きく分けて3つの“派閥”とでも言いますか、出自の異なるグループがあります。“侵略者”の【星輝兵】、“異形”の【根絶者】、そして“次代”の〈メサイア〉。
 
この中でも特に(ギミック的にも)対立構造になっているのが【星輝兵】と〈メサイア〉。今回のクランブースター「混沌と救世の輪舞曲」はその名のとおり、この対立構造を主軸のテーマに据えたものとなっています。
 
“敵対者の呪縛”をさらに特化させた、カオスブレイカー・ドラゴンを筆頭とする【星輝兵】。“呪縛と救済”で解呪の力を振るう〈メサイア〉。「混沌と救世の輪舞曲」の企画開発は、まずこの陣営の差をより鮮明につけるところからスタートしました。
 
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例えば両陣営の看板ユニットである「オルターエゴ・ネオ・メサイア」と「星輝兵 カオスブレイカー・クライシス」。以前のグレード3、「オルターエゴ・メサイア」と「星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン」は動きが少し似ていた部分もありましたが、新たな姿では大きく袂を分かつ形になりました。
 
より“自陣”への影響度を重視し、爆発力とコスト比の高まった「オルターエゴ・ネオ・メサイア」は、カオスブレイカーの呪縛をものともしないどころか糧にすらしながら、仲間たちと連携し、驚異的な連続アタックを仕掛けることができます。
 
対する「星輝兵 カオスブレイカー・クライシス」も、やや立ち上がりの遅い超越ユニットに対して先の先を取る呪縛能力に加え、より嫌らしいタイミングで発動できるようになった退却効果を的確に使うことで、カオスブレイカーたった1体でメサイアたちの連携を断ち切ることが可能になっています。
 
もちろん前身である「オルターエゴ・メサイア」、「星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン」もまだまだ十分に強くかつ独自性の高いユニットなので、このあたりをうまく活かした“両面”デッキなども構築の余地があるかもしれません。
 
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脇を固めるリアガードたちも、さらにお互い独自の路線に特化した形になっています。「星輝兵 ストレンジ・ドラゴン」は登場時に“呪縛”を行なうリアガードとして見ればとてつもなく破格の存在で、しかも今回の【星輝兵】を体現した“どう転んでも絶望”な選択肢を相手に強いるユニットとなっています。
 
相手の呪縛をキーとしていた【星輝兵】は、これまでは盤面にユニットを残さないタイプのデッキやリアガードを「抵抗」で固められてしまうと、できることがかなり限られてしまっていました。しかし「星輝兵 ストレンジ・ドラゴン」「星輝兵 グロビュラディア」はそんなことはお構いなし。
 
「星輝兵 ストレンジ・ドラゴン」は呪縛“できなかった”らパワーが増加する二面性を持ちつつ、“登場時”の能力が終わった後もなんなら後列に下がってパワー9000のブースターとして運用することが可能です。
 
「星輝兵 グロビュラディア」は相手が呪縛を警戒し、先駆ユニットすら先に使っていたとしても、無理矢理盤面に“呪縛カードを創り出して”しまいます。一見解呪されれば相手が1枚得をするのではと思えますが、実際のところ星輝兵の呪縛は既に驚異的なレベルまで達しており、そんな“淡い希望”が実現することは……まずないでしょう。
 
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対するメサイア側は、その連携がより多様化し、様々な組み合わせでお互いの力を引き出せるようになっています。特に強烈なのがこの「質量転移のレディフェンサー」「デュナミス・メサイア」の組み合わせ。
 
どちらも“バトル終了時”に動くタイプの能力なので、レディフェンサーを呪縛→デュナミスで解呪、と動かすことで、この二枚だけでも連続アタックを狙うことができます。しかもその後は両方が“呪縛状態”となっているため、ヴァンガードの全体解呪で解呪すると……もう止まりません。
 
レディフェンサーは登場時だけでなく“解呪時”にもパワーアップするので、“呪縛状態でスタート”なんてこともあり得ます。使い方が多岐にわたる難易度高めのユニットですが、しっかりと力を引き出せれば驚異的なパワーを発揮してくれます。
 
レディフェンサーや「メタレイア・メサイア」のようなユニットは「コストで呪縛」や「呪縛カードとして置く」時にも活用できるので、意識しておくとよりよいでしょう。
 
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そしてこの対立構造の最たるものが、GRである「滅星輝兵 カオスブレイカー・デリュージ」「創世竜 ハーモニクス・ネオ・メサイア」です。
 
「滅星輝兵 カオスブレイカー・デリュージ」は「滅星輝兵 カオスユニバース」の拡大版と言ってよい性能で、“無理矢理でも呪縛カードを作る”、“相手に絶望的な選択を突きつける”の二つを体現しています。
 
また手札を削り取り、あまつさえ呪縛カードの内の一枚を直接ダメージへと叩き込む能力により、“呪縛”に対して抵抗力の高い〈メサイア〉にも壊滅的な打撃を与えられます。“差し出すのは相手”、“ダメージへ送るカードを選ぶのはこちら”というのも、彼のやり方らしい絶望的なものとなっています。
 
「ハーモニクス・ネオ・メサイア」も、別の姿である「創世竜 アムネスティ・メサイア」や「創世竜 エクセリクス・メサイア」を彷彿とさせる能力を持っており、呪縛からの解放と強烈なパワー、そしてガード制限によって戦いを終わらせるべく降臨するユニットです。
 
5枚解呪というのは一見難しそうですが、周りのユニットたちの“自縛”能力や新たな完全ガード「定常宇宙の祈り子」によって呪縛カードを創り出すことで、かなり容易に達成することができるようになっています。
 
中でも「終焉に灯る光 カリーナ」&「終焉に灯る闇 ラクスカリーナ」との組み合わせはすさまじく、ガード値にほぼ関係ない相手後列のユニットをパワーに変換しつつ、ラクスカリーナのデメリットを打ち消して途轍もない出力を発揮できます。
 
果たしてこの二陣営、最終的に軍配が上がるのはどちらでしょうか。もっとも、最後に立っていたのは超パワーアップを遂げた【根絶者】だった、なんて未来も……あるかもしれません。
 
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか?お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
よろしければ、是非Twitterなどで感想やご意見などをつぶやいていただけますと幸いです。

それでは、また来週。
スタンドアップ・ヴァンガード!

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中尾 宗也なかお むねなり

さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。

遊宝洞 中尾氏

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