『週刊ヴァンガードコラム』バックナンバー 第54回

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第54回 『蒼波、絶海、究極超越』

みなさん、こんにちは!第54回となりました、週刊ヴァンガードコラムを書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
 
さて今回からは、来月11/17に発売のブースターパック「究極超越(アルティメットストライド)」に収録されているクラン、《アクアフォース》と、さらに《アクアフォース》の属する「メガラニカ」のゼロスドラゴンを、その開発エピソードを交えてご紹介いたしましょう!
 
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ブースターパック第13弾「究極超越」の商品情報はこちら!
 
《アクアフォース》は少し変わった背景を持つクランで、はるか昔の惑星クレイに存在していた伝説の海軍でありながら、永きにわたって「封印」されていました。ですが、とある事件をきっかけに封印が解かれ、現在の惑星クレイに“復活”し、独自の理念で活動を続けています。
 
“絶対正義”を掲げ、その勢力を伸ばしていく彼らは現代においてかなりの版図を持っていますが、「封印」されていた勢力すべてが解き放たれたわけではありませんでした。彼らには“水将”などの階級がありますが、より高位のものは、まだ封印されていたのです。
 
しかし、ついに古の《アクアフォース》を束ねていた存在、“元帥”の封印が解かれたのです。彼の名は――
 
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――「蒼波元帥 ヴァレオス」!
 
《アクアフォース》ではかなり珍しい、配下をコールする能力は創始者たる彼のイメージから作られたものです。さすがに《ロイヤルパラディン》のような専門家にこそ及ばないものの、パワー増加が《アクアフォース》の特性と相まって、かなり有用な効果と言ってよいでしょう。
 
コールも強力ですが、特徴的なのはもう一つの「ストライドスキル」。なんと相手ヴァンガードのパワーをそのターン中、11000に「固定」してしまうというもの!これは彼の持つ正義執行に対する執念を表現しつつ《アクアフォース》の苦手なダメージトリガーに対抗できるものを、という事で作成した能力です。
 
ヴァレオスは、味方の士気を向上させ、パワーを上げたり連続攻撃を可能にしたり、といった能力ではなく、相手を“回避不能”に追い込むスキルでアクアフォースの特性をより強靭なものに変化させています。相手のダメージトリガーやパワー増加という“反逆”を許さず、最低限最大効率の連撃で一気に相手を追い詰める、その容赦ない戦術はまさに驚異的。
 
彼の能力はあまりにもファイトに与える影響力が大きく、落としどころを探るテストプレイはかなり難航し、まさに嵐の海というイメージでした。
 
そんな彼が解き放った究極の〈ゼロスドラゴン〉。それが……
 
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「絶海のゼロスドラゴン メギド」!
 
その能力は、海洋国家「メガラニカ」に属するクランすべてを体現するようなものとなっています。すべての〈ゼロスドラゴン〉がこういったタイプの能力を持っているわけではありませんが、その国家に属するクランすべてが使用可能というのはいろんな意味で前代未聞でした。
 
今までも《クレイエレメンタル》のGユニットこそ存在していましたが、それとは似て非なるもの。なにせ下手に顕現させると召喚者の未来をすべて焼失させてしまうという設定でしたから、生半可な覚悟で使役できるユニットではないわけです。
 
この「メギド」……いえ、〈ゼロスドラゴン〉という存在そのものもまた、制作がとんでもなく大変でした。
 
各国家に所属しているクランは得手不得手があったり、異なるビジュアルイメージを持っていたりして、それがまた「味」になっているわけですが……〈ゼロスドラゴン〉がこれをすべて取り払ってしまうと、クランの「味」がなくなってしまうのです。
 
どのクランを使おうが、結局最後は〈ゼロスドラゴン〉。これは最悪でした。クランごとの「味」があるからこそのヴァンガード。必然的に、〈ゼロスドラゴン〉の能力はかなりピーキーな、覚悟を持って顕現させる能力となっていったのです。
 
“究極超越”そのもののコストも色々ありました。サラッと実現できてもダメですし、かといって「いやそりゃ無理でしょさすがに……」みたいな内容でもいけません。また「とりあえず一定期間経てばOK」とかだと「GB8」と被ってしまいます。
 
最終的に落ち着いたのがこの「ヴァンガードと同名のカードを捨てる」でした。通常の超越と比較して難易度がいい塩梅でしたし、ヴァンガードはいわばファイターの分身ですから、〈ゼロスドラゴン〉の「自身の未来を賭けて顕現させる」という設定にもマッチしていました。
 
最後まで検討されていたのが「双闘」状態のヴァンガードや「ペルソナブラスト」用のコストを供給するユニットとの相互関係でしたが、これは「OK」の方に舵を切りました。ことさら排他にする必要もないですし、そういったデッキが作れるかも、というのはピーキーな〈ゼロスドラゴン〉にとって良い風になってくれます。
 
何より、たとえ100%“究極超越”できるデッキが現れたとしても、ほとんど問題になりませんでした。なぜなら〈ゼロスドラゴン〉は、そのシステム的にも、なまなかな覚悟で顕現させてしまうと……破滅するのは、使い手側かもしれないのですから。
 
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか?お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
よろしければ、是非Twitterなどで感想やご意見などをつぶやいていただけますと幸いです。

それでは、また来週。
スタンドアップ・ヴァンガード!

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中尾 宗也なかお むねなり

さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。

遊宝洞 中尾氏

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