『週刊ヴァンガードコラム』バックナンバー 第52回

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第52回 『トライアルデッキができるまで GZ編』

みなさん、こんにちは!第52回となりました、週刊ヴァンガードコラムを書かせていただいております、有限会社遊宝洞・制作の中尾でございます。今週もよろしくお願いします。
 
アニメ「カードファイト!! ヴァンガードG Z」もスタートし、10/20には「GZ」最初のトライアルデッキ「再誕の救世竜」が発売となります!こちらはクランブースター「混沌と救世の輪舞曲」と同時発売、ここから《リンクジョーカー》を始めやすいセットとなっています。
 
そこで今回は、トライアルデッキ「再誕の救世竜」に収録されているユニットをご紹介しつつ、ヴァンガードのトライアルデッキができるまでの工程や開発エピソードなどをお話ししたいと思います。
 
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「再誕の救世竜」の商品情報はこちら!
「混沌と救世の輪舞曲」の商品情報はこちら!
 
“トライアル”デッキには二つの役目があります。一つは、熟練ファイターの皆さんの心をくすぐる新しいユニットたちをお披露目すること。
 
そしてもう一つはもちろん、ここから始めるファイターの皆さんをサポートすることです。つまり、トライアルデッキに収録されているユニットたちには、カードの強さや魅力以外にも、色々な役割があったりします。
 
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例えば今回の「再誕の救世竜」には、伊吹君の分身ユニットである「オルターエゴ・メサイア」が新旧“両方”入っていますが、実は、企画初期の段階では「オルターエゴ・メサイア」はトライアルデッキではなくブースターに収録される予定でした。
 
しかし今回、再録ユニット「アレスター・メサイア」の存在もあり、かつどちらの「メサイア」もトライアルデッキで絶対ライドしたくなる時があるほど重要かつ強力なユニットだったため、“両方”が収録されることになったのです。
 
余談ですが初期のグレード3、もう一枠だったのは「中性子星のレディガンナー」。彼女は《リンクジョーカー》の理想的な戦術である「双方の呪縛」ができるユニットとして入門用にぴったりだったため、ピックアップされていました。今では彼女はブースターパック「混沌と救世の輪舞曲」に再録されています。
 
もちろん「メサイア」の先駆け的存在である「デスティニー・ディーラー」も4枚入っていますので、チューンアップ前の状態でも「オルターエゴ・ネオ・メサイア」と「オルターエゴ・メサイア」の両方で遊べるようになっています。
 
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トライアルデッキならではの役割を持つユニットのわかりやすい例は「グレートウォール」と「緊縛の重星 クラスターマイン」。熟練ファイターの皆さんにはやや物足りないかも、といったレベルのユニットですが、ことトライアルデッキにおいてはとても大事なユニットなのです。
 
グレード固有の能力、「インターセプト」と「ブースト」は通常、カード左上のアイコンとして書かれているのみであり、本当に始めたばかりの方にはこの違いは読み取りづらい要素だったりします。
 
でも彼らは、そのテキストボックスに「インターセプトしてね」「ブーストしてね」と書いてあります。「文字として書いてある」、これがとても重要なのです。
 
アイコンだけでなくテキストでもフォローすることで「グレード2はインターセプトを持つから前列向き」であるとか、「パワーが足りない時やヒットさせたい時はブーストを置く」という気付きの“取っ掛かり”となれるようになっているのです。
 
こういった「動きを体験してもらう」要素は他にもあります。例えばトライアルデッキにカウンターブラストを使用するユニットが1枚も入っていないと、具体的な「体験」がなく、なかなか飲み込めないでしょう。ソウルブラストや複数のコスト支払いなども同様です。
 
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また、今回ならではの「工夫」もいつくかありました。正直なところ、《リンクジョーカー》……特に呪縛と解呪を繰り返す「メサイア」はギミックが結構複雑かつ直接的ではないため、そのままフルスロットルで行くとちょっとハードルが高すぎました。
 
そこで「相手のユニットを解呪する択もあるよ」という部分の“取っ掛かり”要員として「リストレイン・ドラゴン」を、「何度も呪縛と解呪を繰り返すといいことがあるよ」という部分の“取っ掛かり”要員として「メタレイア・メサイア」が生まれたのです。
 
彼らがいれば、もし「呪縛から解呪された時はスタンド状態になるのでそれを利用して連続攻撃をする」というルール挙動を使ったギミックがすぐに理解できなくても、とりあえず「呪縛と解呪を繰り返すと良いことがあるんだな」ということがわかり、ギミックの“取っ掛かり”になってくれます。
 
また「メタレイア・メサイア」の“呪縛されない”能力も今回ならではのものです。今回発売されるトライアルデッキは一種のみなので、「再誕の救世竜」同士で遊ばれるシチュエーションがかなり多くなるはずです。
 
《リンクジョーカー》の呪縛は非常に強烈な能力ですが、その反面、とても停止的です。まだ慣れないファイター同士がお互いに呪縛し合って泥沼消耗戦は……入門編としてはちょっと……ハードルが高くなりすぎます。
 
そういう時に備えて解呪ユニットに加え、直感的な“呪縛できない”アタッカーがいれば、「再誕の救世竜」同士で遊んだ時に呪縛によってファイトが停滞しすぎることを防いでくれる、という訳です。
 
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グレード3が“Wメサイア”になったことで、テストプレイ時から大きく変更されたユニットもいます。新たなGガーディアン、「綻びを閉じる光 レディヒーラー」はそのうちの1枚です。
 
彼女は最初、「呪縛が1枚以上あれば+5000、自分側に1枚以上あればもう+5000」という能力でしたが、相手ターン中に自分側の呪縛カードを作るのがやや難しい(自分だけで実現するには「リストレイン・ドラゴン」が必要)事と、「再誕の救世竜」同士で遊んだ時に“相手のカードを呪縛する”行為が裏目になりすぎないようにという事で今のテキストになったのです。
 
ちなみに呪縛の注釈文も、従来に比べてちょっとだけ変更されています。この辺りも「メサイア」が解呪を参照しているため、少しでもわかりやすくなるように(ただし文章が長くなりすぎないレベルで)という狙いがあったりします。
 
というわけで「GZ」でさらにパワーアップしたトライアルデッキ「再誕の救世竜」、熟練《リンクジョーカー》使いの皆さんも、ここからはじめてみようかなという皆さんも、ぜひチェックしてみてくださいね!
 
さてさて、週刊ヴァンガードコラム、いかがだったでしょうか?お楽しみいただけたならばうれしい限りです。
よろしければ、是非Twitterなどで感想やご意見などをつぶやいていただけますと幸いです。

それでは、また来週。
スタンドアップ・ヴァンガード!

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中尾 宗也なかお むねなり

さまざまなゲームのシステムデザインを手掛ける、有限会社遊宝洞にて制作を担当。『カードファイト!! ヴァンガード』では、カードデザイン・開発に携わる。

遊宝洞 中尾氏

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