11月26日(土)、東京。
全国各地で開催されてきた「ちほうかっぷ デラックス」「WGP デラックス」の最後の舞台である東京ビッグサイトに、今大会最多人数のファイターが集結した。
トリオファイトに参加したチームは、316チーム948名。これまでの会場と同じく2つのブロックに分けられ、各ブロックの優勝チームが日本一を決める「デラックス」への出場権利を獲得する。
腕に覚えのあるファイターたちが全国各地から集結したこの大会、果たして結果は―――?
決勝トーナメントのデッキ分布
予選5回戦を突破し、決勝トーナメントに残った各ブロック8チームの使用デッキ(ライドライン)は、以下のようになった。
Aブロック
《クロノジェット・ドラゴン》6名
《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》4名
《ユースベルク“破天黎騎”》2名
《天輪聖竜 ニルヴァーナ》1名
《ドラゴニック・オーバーロード》1名
《幽遠なる夜に タマユラ》1名
《ファントム・ブラスター・オーバーロード》1名
《ユースベルク“天墜黎騎”》1名
《魔獄竜帝 ファヴルニール》1名
《ディアブロスダイバー ジュリアン》1名
《怪雨の降霊術師 ゾルガ》1名
《極光戦姫 セラス・ホワイト》1名
《グラビディア・ネルトリンガー》1名
《枢機の主神 オルフィスト・レギス》1名
《光耀の魔導姫 ルーテシア》1名
Bブロック
《クロノジェット・ドラゴン》6名
《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》5名
《ユースベルク“破天黎騎”》3名
《ユースベルク“天墜黎騎”》2名
《枢機の主神 オルフィスト・レギス》2名
《封焔の巫女 バヴサーガラ》1名
《重力の支配者 バロウマグネス》1名
《スチームファイター バリフ》1名
《グラビディア・ネルトリンガー》1名
《剣聖騎竜 グラムグレイス》1名
《旗艦竜 フラッグバーグ・ドラゴン》1名
この日、最大勢力を誇ったのは11月11日(金)に発売された「Stride Deckset Chronojet」の《クロノジェット・ドラゴン》デッキ。
【超越】ギミックを引っ提げてスタンダード環境に帰ってきた〈ギアクロニクル〉たちが、東京大会の一番人気となった。
今大会ではその人気を予想し、あえて他のG3をライドデッキに置くことで、ファイトでの不利を承知で「ライドライン選抜」で有利になる作戦を取るチームもいたほどだ。
(Aブロックの《ディアブロスダイバー ジュリアン》、Bブロックの《スチームファイター バリフ》は手札から《クロノジェット・ドラゴン》にライドするデッキ)
また、それと同等の勢いを見せたのが、10月21日(金)に発売されたタイトルブースター第6弾「モンスターストライク」Vol.2収録の《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》デッキ。
モンスターBOXから味方をコールする能力で、《激・獣神祭2022》によって強化されたリアガードを展開して連続アタックでき、攻守ともに高水準の強さを誇る。
会場では、多くの対戦卓で「クレスト」と「モンスターBOX」が展開されていた。
この2デッキ勢いは「ちほうかっぷ」の結果などですでに知られており、決勝トーナメントに進出した多くのチームが、いずれかまたは両方を採用していた。 |
最大勢力となった2デッキの他は、各チームいろいろなデッキを使っていた。
大阪会場で旋風を巻き起こした《ユースベルク》デッキを採用するチーム、使い慣れたデッキのプレイ練度で勝ちを狙うチーム、また最新のPRカード《魔獄竜帝 ファヴルニール》を選ぶチームも。
11月17日発売の「カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ」付録で登場したG3。ライドしないことで本領を発揮するため、ドローに左右されにくいのが特徴。 |
決勝戦レポート
決勝トーナメントを勝ち進み、決勝に残ったのは以下の4チーム。
Aブロック
チーム名「鯨塾」 【デッキレシピ】
先鋒「かのと」選手(《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》)
中堅「くじら」選手(《クロノジェット・ドラゴン》)
大将「Jにあ」選手(《ユースベルク“破天黎騎”》)
VS
チーム名「シャカプロ」 【デッキレシピ】
先鋒「みるたえ」選手(《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》)
中堅「ウズメ」選手(《ドラゴニック・オーバーロード》)
大将「ラルド」選手(《クロノジェット・ドラゴン》)
Bブロック
チーム名「サイコロ」 【デッキレシピ】
先鋒「柊声」選手(《ユースベルク“破天黎騎”》)
中堅「にんじん」選手(《クロノジェット・ドラゴン》)
大将「niji」選手(《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》)
VS
チーム名「ゲーヌーズドダマ」 【デッキレシピ】
先鋒「ぱりおじ」選手(《枢機の主神 オルフィスト・レギス》)
中堅「まるる」選手(《厄災を祓いし「漁業神」 えびす》)
大将「きょん。」選手(《スチームファイター バリフ》)
今回は、Aブロックの中堅戦「くじら」選手と「ウズメ」選手の対戦をレポートする。
Aブロックは、予選から負けなしで勝ち上がってきた強豪チーム同士が対峙した。
「くじら」選手、「ウズメ」選手ともに、過去にも地区大会や大型大会で結果を残してきたファイター。
150チーム以上から勝ち上がった決勝戦は、強豪同士の対戦となった。
先攻を取ったのは「ウズメ」選手。手札交換は両社とも1枚ずつで、勢いは同等に見えた。
ファイト開始直後の後攻1ターン目、さっそくファイトは大きく動く。
「くじら」選手は《メーザーギア・ドラゴン》にライドすると《ブレインウォッシュ・スワラー》をコール。
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まずはヴァンガードの《メーザーギア》でアタック。「ウズメ」選手はノーガード。
トリガーチェック……《結緋の跳梁 クレン》!クリティカルトリガー!
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続く《スワラー》のアタックにもノーガードを宣言した「ウズメ」選手。
「くじら」選手のスタートダッシュに、早くもダメージ3を喫してしまった。
「ウズメ」選手の後攻2ターン目。
《ドラゴンナイト ネハーレン》にライドすると、《鎧の化身 バー》の能力で、山札から終盤の攻防に備えて《四精織り成す清浄の盾》を手札に加える。
「くじら」選手のデッキはグレード4に【超越】するだけではなく、《クロノジェット・ドラゴン》のガード制限も強力。《清浄の盾》をどこで使うかが重要になるだろう。 |
さらに《爆砲竜 ブラキオフォース》2体を前列にコール!
中盤以降に厄介になる《スワラー》の除去を狙い、「くじら」選手の勢いを削いでいく作戦だ。
アタックヒットが条件だが、カウンターブラストやソウルブラストが不要の除去。2体並べばヒットも狙いやすい。 |
1体目の《ブラキオフォース》のアタックを、「くじら」選手はノーガード。
ダメージ3対1となり、《スワラー》は退却、さらに「ウズメ」選手は1枚引く。
続いて2体目の《ブラキオフォース》のアタックもノーガードで通す「くじら」選手。
退却する相手はいないが、ここはガードのために手札を稼いでおきたい「ウズメ」選手、能力を使ってさらに1枚引く。
ヴァンガードの《ネハーレン》のアタックを、「くじら」選手は手札1枚でガード。
ドライブチェックはノートリガー、ダメージは3対2となってターン終了。
「くじら」選手の後攻2ターン目。
《スモークギア・ドラゴン》にライドすると《スチームスカラー ジジ》をコールし、手札を補充。
《ジジ》の前には《アメイズメント・マジシャン》をコールし、ソウル補充の準備も忘れない。
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そしてバトル!
まずは《スモークギア》のアタック。
ここで「ウズメ」選手は手札から《ブラキオフォース》をガーディアンにコールし「1枚貫通!」を宣言!
前のターンで受けたクリティカルトリガーの不利を覆すための一手だ。
「くじら」選手のドライブチェック……またも《結緋の跳梁 クレン》!「ウズメ」選手のガードを突破するクリティカルトリガー!
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この手痛い一撃で、「ウズメ」選手はダメージ5。万事休す!
続く《アメイズメント》のアタックはガードしたものの、ダメージは5対2。
「ウズメ」選手の先攻3ターン目、まずは《ドラゴニック・オーバーロード》にライド!
ソウルから《ネハーレン》をコールし、さらに手札から《バーニングホーン・ドラゴン》をコール!能力で《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》を手札に加えた。
《ネハーレン》の能力で《ネハーレン》自身と《ドラゴニック・オーバーロード》のパワーを上げ、決意の表情でバトルに入る。
パワーを上げた《ドラゴニック・オーバーロード》がスタンドすれば、一気に大ダメージも狙える。3回のドライブチェックで、トリガーが欲しいところだ。 |
まずは《ドラゴニック・オーバーロード》でリアガードの《アメイズメント》にアタック。
ドライブチェック1枚目……《ブラキオフォース》、ノートリガー。
2枚目……《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》ノートリガー。
なかなかファイトの流れをつかめない「ウズメ」選手、ここは我慢のターンか。 |
「ウズメ」選手は《ドラゴニック・オーバーロード》の能力を発動。
手札2枚分のコストにした《ドラグリッター ハルブ》をコールして、スタンド!
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《ドラゴニック・オーバーロード》の追撃、ヴァンガードにアタック!
「くじら」選手はノートリガーを宣言。
ドライブチェック……《フレアストライク・ドラゴン》、ノートリガー!
続く《ネハーレン》のアタックはガードされたが、《ハルブ》のブーストとヴァンガードの連続アタックで強化された《バーニングホーン》のアタックはヒットし、ダメージは5対4。
なかなかトリガーに巡り合えない「ウズメ」選手だが、次のターンをしのぎ《ジ・エンド》につなげられるか?
「くじら」選手の後攻3ターン目、まずは《クロノジェット・ドラゴン》にライド!
《スモークギア》の能力で《スチームファイター バリフ》を手札に加えると、それをコストに【超越】!
Gゾーンから《時空竜 フェイトライダー・ドラゴン》をヴァンガードに呼び出した。
時間や空間を飛び越え、過去や未来の強大な存在を一時的に呼び出す【超越】。トリプルドライブも強烈だ。 |
さらに手札から《アップストリーム・ドラゴン》と2体目の《ジジ》もコールし、連続アタックの構えを整える「くじら」選手。
あと1点も受けられない「ウズメ」選手は、《ジジ》でブーストされた《アップストリーム》のアタックをインターセプトと手札2枚でガード。
アタック後の《アップストリーム》は山札に戻り、山札から《ブレインウォッシュ・スワラー》が現れる。
《フェイトライダー》のアタックは序盤に手札に確保しておいた《清浄の盾》でガードした「ウズメ」選手だが、アタック時にリアガードの《ジジ》が、山札の《アップストリーム・ドラゴン》と入れ替わる。
「くじら」選手のアタックは、まだ止まらない。
トリプルドライブは《スチームメイデン アルリム》、ヒールトリガー、ドロートリガー!
この場面で「くじら」選手はダブルトリガー!ヒールトリガーでダメージは回復しないものの、リアガードのパワーを強化して追撃を狙える。 |
天を仰ぐ「ウズメ」選手。
しかし追撃の《アップストリーム》と、《スワラー》にブーストされた《ジジ》は完全ガードを含む手札3枚でガード!ダメージ5対4のままで、このターンは終了。
何とか生き残った「ウズメ」選手の先攻4ターン目。
まずは《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》にライド!
ソウルに《ドラゴニック・オーバーロード》があるので、パワー18000でドライブチェックが減らない!トリガー次第で、一気に巻き返しも可能だ。 |
引いたユニットを《ドラグリッター ハルブ》の後列にコールすると、何と《ドラグリッター サルマー》。
前のターンにダメージを受けていたら……と苦笑いする「ウズメ」選手だが、前を向いてバトルに臨む。
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まずはパワー18000の《ジ・エンド》でアタック!
「くじら」選手は《アルリム》で完全ガード。
ドライブチェック1枚目……《焔の闘僧 ソウギョウ》!クリティカルトリガー!
パワーとクリティカルを《ジ・エンド》に与える。
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ドライブチェック2枚目……《コンダクトスパーク・ドラゴン》!ダブルクリティカル!
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このファイト、ここまでトリガーに恵まれなかった「ウズメ」選手だが、ここで覚醒!
パワーとクリティカルをリアガードの《ハルブ》に与える。
これで、ダメージ4の「くじら」選手はどちらのアタックも通せなくなった。
これまで優勢だった「くじら」選手に不安げな表情が見える。
《ジ・エンド》が能力でスタンドし、ツインドライブのまま追撃!
ここで「くじら」選手は手札から超トリガーの《怨恨の冥竜神 ゴルマギエルド》をガードに出す。
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「オーバー以外は通りません」の宣言には、今の「ウズメ」選手の勢いに対する「もしかすると……」の色がうかがえる。
ドライブチェック1枚目……《ドラグリッター ハルブ》、ノートリガー。
2枚目……《フレアヴェイル・ドラゴン》、ドロートリガー!
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続く《ハルブ》のアタックを手札2枚のガードで凌いだ「くじら」選手、ここで安堵の表情。
ダメージは5対4のまま、攻めきれなかった「ウズメ」選手は、思わず「負けか……」のつぶやきが漏れる。
後攻4ターン目「くじら」選手のターン。
まずは先のターンに手札に加えていた《クロノジェット・ドラゴン》をコストに《クロノドラゴン・ネクステージ》に【超越】!
《クロノジェット》デッキの切り札G4!トリプルドライブでアタック後、《クロノジェット・ドラゴン》に戻って追撃が可能。 |
《ネクステージ》のアタックに対し、入念にパワーラインを確認した「ウズメ」選手は、ノーガードを宣言。
ドライブチェック……1枚目はノートリガー。
2枚目は《喚起の操獣師 ライリー》、ドロートリガー。
パワーはリアガードの《アップストリーム・ドラゴン》へ。
3枚目は《ディアブロスガールズ マイマイ》、ダメ押しのクリティカルトリガー!
パワーは前列リアガードの《スチームスカラー ジジ》へ。
トリガーを願って山札をめくる「ウズメ」選手。
ダメージチェックは……《ドラグリッター サルマー》、ヒールトリガー!
2枚目のダメージチェック……《ドラグリッター サルマー》!またもヒールトリガー!
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パワーは当然《ジ・エンド》に与える「ウズメ」選手。
紙一重で生き残ったものの、「くじら」選手のリアガードも強化されている。
パワー33000に上昇した《ジ・エンド》だったが、《ネクステージ》の能力を使った「くじら」選手には、あと3回のアタックが残されている。
さらにクレストで《アップストリーム》のパワーは40000、《ジジ》のパワーはブーストを含めて41000まで上昇。
そして《クロノジェット・ドラゴン》には、ガード制限もある。
先のターンにドロートリガーで手札が3枚になっていた「ウズメ」選手だが、あと一歩シールド値が足りない……。
ノーガードを宣言し、ダメージチェックは……《フレアストライク・ドラゴン》。
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終盤、怒涛の追い上げを見せた「ウズメ」選手だったが、「くじら」選手の圧倒的な攻撃力に一歩及ばず。
中堅戦は「くじら」選手が勝利し、まずは「鯨塾」が一本先取した!
その後「鯨塾」は、勢いのままチーム全勝。
強豪同士の対戦を制したチーム「鯨塾」が、東京地区Aブロックの優勝を決めた!
(文=神田秀人)